神戸空港アクセス地下鉄構想について

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突然2023年1月1日に神戸新聞にて報道された 三宮=神戸空港間の地下鉄構想についてどういうことなのかを考察してみたいと思う

*あくまで個人的意見であり、神戸市・政党などの正式見解ではありません。

2023年1月1日 神戸新聞より

神戸空港と三宮直結、新地下鉄構想 国際便の就航を見据え、市が需要やルート調査へ
神戸市が神戸空港と都心・三宮を結ぶ地下鉄新線の整備を検討していることが同市への取材で分かった。国際化が決まった同空港は、2030年前後の国際定期便の就航

はじめに

神戸空港は2030年をめどに国際線の導入を目指す方向となっており、そのため、アクセスの強化を求められているため神戸市として鉄道路線構想を打ち立てたと考えられる

概要

神戸新聞によると 三宮中心部からウォータフロント経由しポートライナ中心部を通り神戸空港に至るルートを想定し、総事業費2400億円を超える見込みとのこと

市は23年に始める需要調査で新線のルートも検討する。都心部から空港までは直線距離で約8キロだが、再開発が進むウオーターフロントを抜けて、ポーアイ西側の大学群を通るルートや、企業進出が期待されるポーアイの中央部を通るルートなどが想定される。

 一方、新線の検討では建設費が課題となる。三宮周辺で運行している地下鉄よりも深い位置に建設する必要があり、市営地下鉄海岸線の総事業費約2400億円を上回る見込みという。

2023年1月1日 神戸新聞朝刊より

ルート案

神戸新聞によるとルート案は2通りとしていることから、私が想定した2案で話を勧めていく。
(なお、路線、駅設置位置などすべて想像です)

ルート案1(ポートアイランド中心部)


まず地下鉄海岸線の延伸が前提ではないかと考えられ、今回はその前提では考察する
三宮・花時計前駅から東方向に進んだ後、HAT神戸 西端付近で進路を南に変え、HATゆめ公園付近に駅ができるのではないだろうか。
南に進路を変えたあと海底トンネル(埋没式?)を通りポートアイランドへ
ポートアイランド東側臨港道路に沿う形で地下または高架を通り、現ポートライナー北埠頭付近、ポートアイランドゴルフ倶楽部付近に駅を設置。
海底トンネルまたは、橋にて神戸空港に至るルートとなる。およそ8km

全線にわたって地下鉄海岸線との直通運転になると思われる。
また状況によっては競合となるポートライナー環状部(南公園~中公園間)の廃線の可能性もあるが、車両基地があるため車両基地の神戸空港島への移転が必要。

メリット
HATこうべから三宮へのアクセスが向上する
地下鉄海岸線との相互運用が可能で、神戸市兵庫区、長田区からの神戸空港へのアクセスが向上する
海岸線同様リニア方式になるため工事費が抑制できる
ポートアイランドゴルフ倶楽部付近は未開発地が多く、企業誘致が進む可能性が高いく、土地売却益を新線整備に利用できる

デメリット
三宮・花時計前駅がJR、阪神、阪急、地下鉄山手線三宮駅と離れており、ポートライナーのほうが早着すると思われ、需要が取り込めるのか疑問

神戸空港新線(ポートアイランド中心部案)

ルート案2(ポートアイランド西側ルート)

起点三宮駅はセンター街東口地下とした。
そこからフラワーロード地下を南下、神戸税関・ポートオアシス付近に駅を設置。
海底トンネルでポートアイランド北公園付近を通過、神戸学院大学付近、現ポートライナー医療センター駅付近に新駅を設置。その後海底トンネルまたは橋にて神戸空港へ至るルートとなる。
およそ8.5km

メリット
再開発エリアであるベイエリアのアクセスが向上する
大学進出がすすむ西側エリアで一定の通学需要が見込める
医療センター付近に駅を設置することで利用者の需要が見込める
地下鉄山手線に乗り入れることで新神戸と直結

デメリット
中心部案より距離が伸びるため工事費が増える
すでにある地下街、阪神線の地下を工事するため難易度が高く費用がかかる可能性
ポートライナー空港線と完全に競合となる

工事費

地下鉄海岸線が総延長7.9km(10駅)で2400億円かかっており、今回も総延長距離8kmと同じ程度の距離となるが建設費高騰をうけ3000億円以上ひつようではないかと思われる。
ただし、ポートアイランド内は地下線ではなく高架にする場合は建設費がもうすこし抑えられると考えられる

採算性

まず、神戸空港国際化等による需要増を想定し、定期需要としては該当路線に沿線住民は少ない、中央案であれば、HAT神戸の住民は取り込める、西線であればポートアイランドの通学需要、医療センターへの通院・通勤需要が取り込める(ただしポートライナーと競合)、また再開発が進むベイエリアへの需要も一定数見込めるであろうが、かなり厳しいのではないかと考えられる。

中心部案の直通運転

中心部案については前述の通り地下鉄海岸線との相互運転を前提としており、利用低迷にあえぐ海岸線の収益改善につながることは期待できる

さらに直通運転案

ここまで見てきて、非常に厳しいと思われるこの計画であるが、1つだけ採算的に可能性がある案がある。阪急神戸線乗り入れ案である

阪急神戸線乗り入れ案

阪急神戸線にはもともと神戸市営地下鉄山手線に乗り入れる案があり、その案を利用したものとなる。

王子公園駅で分岐後 長田楠日尾線地下を西に進み、途中熊内町付近に駅、新神戸駅で山手線に接続
フラワーロードを南下後分岐し上記 西側案三宮駅に接続する。

メリット
神戸空港=三宮=新神戸=梅田 が1本で結ばれることより、神戸空港利用者の増加が見込める
(阪神間住民が伊丹空港より神戸空港利用の選択が増える)
三宮での乗り換えが不要となる
ベイエリア=梅田のアクセス向上により、建設中のアリーナの利用増加
中央区山手住民のアクセス向上
神戸東部地区からの新神戸駅へのアクセス改善
最終的に阪急神戸線と地下鉄山手西神線との直通運転も可能になる

デメリット
新神戸駅が山岳部であるため接続工事の費用がかかる
山手線から阪神線より深くする必要があるため分岐後急勾配になる可能性あり
三宮での乗り換え客による、周辺商店への立ち寄り減少による売上低下 ← 神戸市が阪急地下鉄直通案に積極的出なかった理由はこれが一番だと想像している

まとめ

神戸空港国際化に向けてアクセスの改善は必要であるが、それだけを目的としての3000億円以上ともいわれる市税の投入には疑問を感じる。
神戸市は地下鉄海岸線の需要予測を誤り現在も赤字を垂れ流していることもあり、費用対効果についてより厳しい想定で検討していっていただきたいと考えている。唯一採算性がありそうな阪急直通案についても相当な検討が必要だ。
まずは、ポートライナーの混雑緩和に向けてのバス路線(バス・ポートライナ相互利用定期にするなど)のテコ入れなどできることを実施してほしい。

参考
今回使用した GoogleMapの地図データ

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