議員報酬削減条例は否決されました

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令和5年10月23日日本維新の会神戸市会議員団は 議員提出議案 神戸市市会議員の議員報酬、費用弁償および期末手当に関する条例の一部を改正する条例 を提出いたしました

https://www.city.kobe.lg.jp/documents/65682/20231023giinteishutsu5.pdf

 神戸市会議員報酬については 過去のブログにも記載していますとおり、議員報酬は月額93万円と、政令市の中で横浜市についで2番めに高い金額となっています。日本維新の会市会議員はこの報酬削減を公約にかかげ、訴えを行った結果、先の市会議員選挙において15議席をいただくこととなりました。
 その民意を反映するためにも、今回の議会において報酬削減の条例改正案を提出いたしました。
公約では2割削減としておりましたが、まずは人口規模や予算規模の近い川崎市の報酬額に合わせる形を提案させていただき、各会派の賛同をお願いすることとしました。

自民党・公明党から反対討論がありました。

要約しますと、自民党からは議員報酬は局長級並の額が必要であり、議員報酬は本来神戸市のために使われるものという驚くべき発言もありました、自民党会派の議員の方々は議員報酬を市内のみで使用しているのでしょか・・。また寄附をおこなっていることについても批判をいただきました。現在の公職選挙法では選挙区内への寄附は禁止であるため他府県への寄附をさせていただいております。他議員におかれましても積極的な寄附(寄附控除をしない)をおねがいします。また、市政と市民生活の向上のため、議会の権能と機能、効率性を高め、市民に対する還元するために高額な報酬が必要という事がわかりました。議論の場がなく本会議のみに提出したとの批判がありますので今後丁寧な議論していただけることを期待していきます。
 公明党からは議員のなりて不足という現在神戸市では発生していない事象を例に上げ、あろうことか、神戸市とは全く関係のない奈良県の話を持ち出しありもしない人口比での報酬比較をおこなうという呆れる内容です。さらに大阪で行われた維新の改革を十分理解されていない内容でありました。公明党におかれましては、先日まで大阪市会では与党でしたので、大阪の公明党議員の方からヒアリングしていただき、もう少し大阪のこれまでの改革の経過を勉強していただきたいということです。
 この内容を市民が聞いて はたして、理解を得れるのか疑問です

残念なことに各会派反対多数で否決となりました。

以下各会派の議会答弁全文となります。長文となりますが、ぜひとも読んでいただきたいとおもいます。(なお議事録はAIによる自動音声認識をもとにしているため誤字、漢字間違いについてはご了承ください)

提案説明 黒田たけし議員

神戶市においては少子・超高齢化社会の進展に伴う社会保障費の増加等により、今後、より一層厳しい行政運営・財政運営が求められます。財政の健全性を保ちつつ、人口減少対策や、教育・子育て、医療・福祉施策など市⺠サービスの充実を図るためには、さらなる行財政改革の取り組みが必須であります。現在、神戶市の人口は150万人を割り込み、人口規模・予算規模ともに全国で7番目であるにも関わらず、神戶市会議員の議員報酬は全国の政令市の中で、人口規模が国内最大の横浜市に次いで2番目に高額であります。言うまでもなく議員報酬の原資は市⺠の皆様に納めていただいた大切な税金であり、原油高・物価高騰など経済的な困難に直面している市⺠に将来的な負担の増加を強いることがないよう、まず議員自ら議員報酬を分相応に削減し財源を生み出すことで改革への覚悟を示し、行財政改革を推進していくべきと考えます。
以上の理由から、本市市会議員の議員報酬の減額を行うに当たり、条例を制定する必要があり、また、議⻑、副議⻑、各委員会委員⻑及び副委員⻑の各報酬についても同様の理由から、議⻑、副議⻑、各委員会委員⻑及び副委員⻑を除く議員報酬と同率の減額を行うに当たり、条例を制定する必要があるため、神戶市市会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正するよう求めます。
何とぞ、議員各位の御賛同をいただきますようお願い申し上げ、提案説明といたします。

自民党反対答弁 岡田ゆうじ議員

 私は、自由民主党神戸市会議員団を代表し、議員提出第5号議案神戸市市会議員の議員報酬、費用弁償および期末手当に関する条例の一部を改正する条例の件について、反対の立場から討論を行います。
 少子高齢化社会の進展とそれに伴う人口減少の中で、社会保障費等が増大し、市の財政も市民生活を取り巻く環境も、ますます厳しい状況にあります。財政の健全性を保ちつつ、更なる行財政改革の取り組みが求められている中で、私達はこれまで議会として、議員定数の削減や費用弁償の見直し等について、議会全体の理解を図りながら、着実に実現してまいりました。市民理解を広げ、深めるために、議会活動についての透明性を高めることも重要です。そのため、今般、議会全体の総意のもと、議会の広報委員会を立ち上げ、市会ナビ等の運用も始めたところであります。私達議員がその職務の対価として受け取る報酬は、議会のあり方そのものに関わるものであり、議会全体での合意形成が必要とされるものであります。
 また、条例は自治立法であり、市民や議会に義務を課し、または権利を具体的に制限するものです。請願や意見書等々はその扱いにおいて、根本から異なるものであります。ところが、本条例案の提案にあたっては、わが会派含む諸会派に対し、議論の場を設けようなどとの提案は一切なく、今議会の会期末に突如一方的に提案されました。協議を重ねて、最善の結論、合意点を追求するという議会制民主主義のあり方を否定するものである。決して容認できるものではありません。

 また、国会法第35条の規定に議員は、一般職の国家公務員の最高の給与額より少なくない歳費を受け取るとあり、国会議員の歳費は、中央官庁の事務次官級の給与を下回らないとされてきました。
これを一つの根拠として、多くの自治体では、局長級を下回らない金額を、議員報酬の基準にしてきた経緯があります。この見直しも含め、議員報酬のあり方に関する抜本的な対策を、本市独自で取り組むのであれば、それに応じたふさわしい議論の積み重ねが必要であります。
こうした私達の基本的な考え方と、本来、神戸のために使われるべき税金から支払われるべき支払われてきた議員報酬の一部を他の県他の市、団体に寄付をしてきた提案会派の認識とは、そもそも大きな隔たりがあります。地方自治体が担う役割は時代の流れの中で、ますます高度化、複雑化しております。私達議会の役割は、総額で2兆円弱にも及ぶ神戸市の全体予算に対し、無駄の削減はもちろん、行政の光の届かない市民や地域が生じないよう、行政と交渉し、伴走し、蠕動する役割を果たすことです。

 市民のための公平公正、正義を実現するため、更なる専門性と監視分析能力を磨き高めていくことです。そうした本来の議会のあり方、職責責任に対し、私達はこれまで十分な役割を果たしてこれたでしょか。我々議会のこれまでの取り組みは十分だったでしょうか。今最優先すべきは、市政と市民生活の向上のため、議会の権能と機能、効率性を高め、市民に対する還元をもたらすことです。そうした根本的な振り返りと検証のないまま、単に議員報酬の一部、特段根拠のない額をとりあえず削減して見せようとすることは、単なるパフォーマンスであり、市民を欺くものです。
以上の理由により、条例案には反対せざるを得ません。

議員諸氏の賛同をお願いし、反対討論といたします。

公明党反対答弁 坂口有希子議員

次に、11番坂口有希子くん、議長11番坂口くん公明党の坂口有希子でございます。

ただいま上程されております議題議員提出第5号議案、神戸市市会議員の議員報酬、費用弁償および期末手当に関する条例の一部を改正する条例の件に反対する立場から、討論いたします。

本議案は、議長、副議長、常任委員会、特別委員会の正副委員長およびそれ以外の議員の月額議員報酬をそれぞれ削減しようとするものですが、議員の報酬のあり方は、市民の暮らしにとって、極めて重要な問題でございます。いたずらに議員報酬を削減することは、その結果として、民主主義を歪め、市民の権利を害することになるからです。

ここでは5点にわたってその問題点を明らかにし、議員諸氏のご理解を賜りたいと存じます。

第1は、議員のなり手が不足する問題です。
 今、全国的に問題になっているのは、議員報酬の低さゆえに、議員のなり手がないという問題です。幸い、本市会では、今のところ無投票当選や候補者が定数に満たないという事態は起きておりません。しかし、年金が国民年金しかなく、退職金もないため、ぜひ立候補してもらいたいと思う人材がいても、生涯年収が下がってしまう方が少なくないことから、良い人材を確保しにくい状況が既にございます。一方、神戸市会では、議員定数を69から65に削減いたしました。将来的には、60まで削減する案もございますが、それを進める前提は、定数が少なくなっても、市民の声を市政に反映する役割を低下させないということです。言い換えれば、議員の資質向上と活動の充実が前提条件です。定数にしろ、議員報酬にしろ、単純に減らせば良いというものでは決してありません。

そのことは、日本維新の会議員団の皆様も同意見だと思います。さらに報酬の低さゆえに、金銭に絡む事件も起き、政治に対する信頼を損ねています。過日、奈良県斑鳩町議会議員が、町内会のお金を着服したとして、議員を辞職いたしました。着服した理由は、経済的に苦しかったと報道されております。月額の報酬は27万6000円でした。確かにこれでは税金や公共料金などを払った後、手取りはいくらになるのか、活動費はどうするのか。本年の統一地方選の前に発行された雑誌ウェッジ4月号で、地方議会って本当にいるのという特集が組まれておりました。その中で、島根県奥出雲出身で、京都大学を卒業し、過疎に苦しむ地元に貢献したいと、29歳で町議制に立候補した方の記事がありました。
 当選を果たしたものの、手取りが月額19万円で、結婚もできず、住民のための活動もままならない実態がレポートされておりました。議員報酬とは、そもそも何のための報酬なのか、議員はそもそも名誉職なのでしょうか。

第2の問題点は、報酬の判断基準が曖昧かつ不十分だという点です。

提案者から伺うところ、人口が同規模の川崎市になるとし、人口報酬の基準とされています。一見妥当な判断のように見えますが、議員の役割、その活動に要する費用は勘案されず、人口規模が同じくらいであれば、同じようにとの発想以上のものではありません。

人口を基準にするとどうなるか。

川崎市の人口と議員報酬を基準にして、他の地方議員の報酬を割り出してみると、先ほどの斑鳩町は人口2万7300人ですから、議員報酬は、現在の27万6000円ではなく、1万4860円になってしまいます。
 これではますます議員のなり手がなくなり、ますます経済的に余裕がある人しか政治に携わることができなくなって、より多くの市民の主張を反映すべき民主主義を歪めてしまいます。議員報酬は、議員の活動を担保するものでするものでなければなりません。もちろん人口規模も判断要素の一つです。財政規模もあるでしょう。
 さらに今回の改正対象にはなっておりませんが、政務活動費も議員活動を支えるものであり、その内容を検討に加味する必要があります。その上で適正な議員報酬をどう考えるか、慎重な検討が求められるべきではないでしょうか。 人口が同じ規模という単純な比較論で提案されるのはいかがなものかと思います。

第3の問題点は、お金持ちのためだけの政治に陥る危険性です。


 議員報酬を下げれば下げるほど議員として活動できるのは、議員報酬に頼らなくても良い、経済的に余裕がある人に限られ、お金持ちのためだけの政治になってしまいかねません。普通選挙や公営選挙、政党助成金などの制度を設けてきた歴史は何のためなのか。
 公平公正な政治の実現が、市民の利益を守るものであり、議員報酬の削減がこれを脅かすものであること、日本維新の会議員団の皆様には、慎重に勘案いただきたいと思います。

第4の問題点は、二元代表制を揺るがす問題です。

 言うまでもなく、地方自治は首長と議会との議会とのチェックアンドバランスで、市民の暮らしを守っていくものとされています。しかし、これまで述べてきたように、議員報酬などが削減され、議員の活動が制約されると、首長が優位になり、首長の独断専横の危険が生じます。
首長も選挙で選ばれているとは言いながら、その独断は許されず、議会のチェック機能が弱くなることは、結果として多様な市民の声が無視され、市民の権利を害することになるのです。

第5の問題点は、提案理由としている行政改革の考え方です。

 市民からすると、これが最も由々しき問題であると考えています。条例改正の理由に、市民に将来的な負担の増加を強いることがないよう、まず議員自らが議員報酬を削減し、財源を生み出すことで、改革への覚悟を示し、行政改革を推進すべきと考えるとあります。
 一見最もなように見えますが、この考えの本質は、行政改革とは、財政支出を切る、切り詰めることと考えています。
 かつて、橋下徹氏の大阪府政では、福祉も芸術文化も、ありとあらゆる分野の支出を切って、大阪府財政は黒字になりました。市民に将来的な負担を強いることのないようとしておりますが、支出を切り詰めて、まず助かるのは行政です。財政出動対象となっていた医療、福祉関係、芸術文化関係などは、支出の打ち切りによって、将来的な負担増加どころか、直ちに大きな負担を強いられることになったのです。その痛みを市民に強いるために、まず議員自らが議員報酬を削減するのだとしています。
我々がまず切るのだから、あなたたちの分を切ることを納得しろという発想です。

慢性的な行政の赤字は、確かに看過できません。しかし、財政学の教科書にあるように、景気が悪いときには、財政出動して、つまり財政が赤字になっても市民経済を支え、市民経済を黒字にする。
市民経済が盛んになって、インフレ状態に近づくときは、財政支出を減らして行政を黒字化するのが財政運営の基本です。
すなわち、単純に財政の黒字が良くて、赤字が悪いというものではないということです。議員諸氏には釈迦に説法でございますが、切り詰めるだけの行政改革は、社会の活力を失わせてしまいます。

本来の行政改革は、税金を1円でも無駄にしないよう、常に新しい技術や知見を求めて行政の効率化を図り、社会の活力の基盤である医療福祉の充実や子育て支援、人材育成、新たな産業育成などの政策をいかに効果的に進めるかにあります。
 その成果として、財政収入を増加させ、市民福祉の増進と将来世代に向けて投資する、その好循環を実現するのが行政改革の目的です。

ぜひこの点を提案者にはご理解いただきたいと思います。

以上、これら五つの問題から、当該条例改正案には反対せざるを得ません。

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